前回の続き・・・
【優良キャブ車の流出】
きっと、程度の良い往年のキャブ車は海外へどんどん流出している。特に環境問題への対応に日が浅い国に。
外国人ブローカーが言ってた。
「日本製バイクは世界で大人気だから、何でも買うよ」
って。
外国で走ってるバイクは、各国から集めた中古のキャブ車が主流だろうし、車検という感覚が無い国ではニーズも簡単には無くならない。
改造・流用はいくらでもできるからね、罰則とかも無いんだし。言ってみればやりたい放題だ。
80年代のレプリカなんて、かなり海外に流れている。パーツ供給が止まって国内市場で流通が厳しいから、値が付く海外へ売ったれ…だったとか。
ある意味、国産バイクが世界に性能を知らしめた時代。NSR500、GSX-R750、FZR750R・・・WGPを席捲した馬鹿ッ早なマシンが数々の栄光を手にした。
そのネームバリューは、日本の比じゃない海外。手に入れば高値で売れる日本製バイクはまさにドル箱。なら、普通に考えてそっちに売るよな、そりゃ。
【リターンライダーのリタイヤ】
バイクブームをけん引した1980年~1990年に10代後半~20代が、40代~50代となった2010年あたりは、リターンライダーが本当に多かった。
ミーティングと銘打ったツーリング。道の駅とかドライブインには、中年・壮年ライダーの声がたくさん聞こえていた…。
そして、所有するバイクは若かりし当時の人気を博したキャブ車も多くて、ギラギラにカスタムした車体や、走りのパーツとスポーツタイヤを履いたエグい車体が並んでいた。
最新バイクに乗ってたのに、キャブレターを体感してハマって乗り換えてしまったという人も結構いた。
それが10年経った今、リターンライダーは更に年を重ねて、バイクを降りる人が出始めた。リターンからリタイヤへ…。
仕事のリタイア(退職)の時期も重なる年代。退職後は収入低下が否めないから自由に資金投入も難しいし、体力的にも・・・自然の流れには逆らえない。
おそらく相当数がこの十数年間にバイクから離れる。市場をけん引してきた年代が居なくなれば、その後のニーズは大きく下降するだろうな。
【キャブ車の行く末】
このことは、優良キャブ車の海外流出が増えて、国内でキャブ車を見る機会が益々減ると想像させる。
現代のライフスタイルに合わせ、ツーリングのようなロングライドのニーズよりも、近距離で楽しむ乗り物のような・・・エコで小型のEVバイクみたいな形が主流に?
走り去るオイルの匂い・・・ガソリンの匂い・・・ほったらかしにすると、すぐにグズるキャブレター、バイクを操り走らせる楽しさは何にも代えがたい。
それを感じてる側には、その姿が減っている気がするのは・・・憂鬱でしかない。
それが宿命で、いつかは終わる日が来ることは分かってる。だけど、“人に近い機械”、それが数を減らしていくのを感じるのは・・・やっぱり寂しい。